2024年3月25日

【JICPA】会計制度委員会報告第7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」の改正及び「公開草案に対するコメントの概要及び対応」について(2024年3月22日)

日本公認会計士協会(会計制度委員会)では、2024年3月18日に開催されました常務理事会の承認を受けて、会計制度委員会報告第7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」(以下「資本連結実務指針」という。)を2024年3月22日付けで公表しましたのでお知らせします。

1.改正の背景

 令和5年度税制改正において、完全子会社株式について一部の持分を残す株式分配のうち、当該一部の持分が当該完全子会社の株式の発行済株式総数の20%未満となる株式分配について、他の一定の要件を満たす場合には、完全子会社株式のすべてを分配する場合と同様に、課税の対象外とされる特例措置、いわゆるパーシャルスピンオフ税制が新たに設けられました。これを受けて、ASBJにおいて、事業を分離・独立させる手段であるスピンオフの会計処理に関して検討がなされ、改正企業会計基準適用指針第2号「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針」及び改正企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(以下、これらを合わせて「改正自己株式等会計適用指針等」という。)が公表されました。

 改正自己株式等会計適用指針等では、個別財務諸表上、基準の開発範囲のケースについて配当財産の時価ではなく配当財産の適正な帳簿価額をもって、その他資本剰余金又はその他利益剰余金(繰越利益剰余金)を減額するとしております。

 これに伴い、資本連結実務指針についても改正する必要が生じたため、ASBJから当協会に対し、資本連結実務指針の改正の検討の依頼がありました。

 本実務指針は、当協会による検討の結果、資本連結実務指針の改正を行うものです。

2.改正内容

 資本連結実務指針の主な改正内容は、以下のとおりです。

(1) 子会社株式を配当した場合の会計処理

 保有する完全子会社株式のすべて又は一部を株式数に応じて比例的に配当(按分型の配当)し子会社に該当しなくなった場合、以下のとおり、連結財務諸表上の会計処理を行うことに致しました。

① 配当前の投資の修正額(付随費用及び子会社株式の追加取得等によって生じた資本剰余金を除く。)とこのうち配当後の株式に対応する部分との差額

 連結株主資本等変動計算書上の利益剰余金とその他の包括利益累計額の区分に、子会社株式の配当に伴う増減等その内容を示す適当な名称をもって計上します。

② 個別財務諸表上の取得価額に含まれている付随費用及び子会社株式の追加取得等によって生じた資本剰余金のうち配当した部分に対応する額

  連結財務諸表上、配当により個別財務諸表で計上したその他資本剰余金又はその他利益剰余金(繰越利益剰余金)の減額を修正します。個別財務諸表で計上したその他資本剰余金又はその他利益剰余金(繰越利益剰余金)の減額については、付随費用のうち配当した部分に対応する額を修正します。また、子会社株式の追加取得等によって生じた資本剰余金のうち配当した部分に対応する額を修正します。

③ 残存する当該被投資会社に対する投資(支配を喪失して関連会社になった場合)

 当該会社の個別貸借対照表はもはや連結されないため、連結貸借対照表上、親会社の個別貸借対照表に計上している当該関連会社株式の帳簿価額は、投資の修正額のうち配当後持分額が加減されることで、持分法による投資評価額に修正されます。この場合、当該持分法による投資評価額には支配喪失以前に費用処理した支配獲得時の取得関連費用を含めません(資本連結実務指針第46-2項)。同様にのれんの未償却額の取扱いは、子会社株式を売却し当該会社に対する支配を喪失して関連会社になった場合ののれんの未償却額の取扱い(資本連結実務指針第45-2項)に準じて行います。

④ 残存する当該被投資会社に対する投資(支配を喪失して関連会社にも該当しなくなった場合)

 残存する当該被投資会社に対する投資は、個別貸借対照表上の帳簿価額をもって評価するため、完全子会社株式の一部を配当し当該被投資会社に対する投資が残る場合には、配当後の投資の修正額は取り崩し、当該取崩額を連結株主資本等変動計算書の利益剰余金とその他の包括利益累計額の区分に、連結除外に伴う増減等その内容を示す適当な名称をもって計上します。

詳細は以下をご参照ください。

https://jicpa.or.jp/specialized_field/20240322ruy.html

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